英語の上達には文法がほぼ貢献しない理由を解説し、最適な勉強法も紹介

イマージョン Mar 10, 2024

読了目安時間:10分

英語習得において文法は絶対必要!という人もいるし、文法はそこまで必要じゃないという人もいて混乱してます。一体どっちが本当なの?

はい、私たちCHADSチームも言語学習者としてそこはよく戸惑うポイントでした。色々な言語学習者兼インフルエンサーたちが様々な意見を言い、相反するアプローチが混在しているのが現状です。どの業界でも一緒なのですが、インフルエンサーというものは注目を集めることに命をかけているため、とにかくセンセーショナルなことを言いがちです。従って、言語学習者にとって本当の意味で効果的でバランスの取れたアプローチは埋もれてしまうのです。CHADSでは自然に英語を学んでいく英語イマージョン学習をおすすめしていますが、この記事では実際に英語習得においての文法およびいわゆる伝統的な勉強というものは必要なのかについて、そして本当にバランスの取れた英語学習方法とは何かについてを解説していきます。

この記事の要点

  • イマージョン学習:自然に英語を吸収し、文法学習は後回しにして単語量の増加を優先する。
  • 文法より単語:最初に文法を学ぶよりも、英語に触れながら単語を覚えていくことが重要。
  • 語彙の種類:「使える単語」と「理解できるが使えない単語」をバランスよく学ぶ。
  • 学習タイミング:新しい単語に触れ、積極的に語彙を増やすための工夫が必要。
  • ツール活用:AnkiとChatGPTを利用して、効率的に単語を学習するが、人間らしい会話の学習には限界がある。

目次

理想的な英語の習得方法英語イマージョン学習では、文法の勉強は必要なし?

英語イマージョン学習中は、どんな時に「勉強」すべきか?

英語イマージョン学習におすすめのツール

まとめ

CHADSとは


理想的な英語の習得方法では、文法の勉強は必要なし?


理想的な英語の習得方法とは

最も理想的な英語習得法は母国語を吸収する赤ちゃんのように英語を自然と習得するイマージョン学習法になります。(※イマージョン学習についての詳細はこちらの記事「英語イマージョン学習法:自然に聞き取れ、話せるようになる独学法の実用的ガイドライン」をチェック)具体的には、言語を「勉強」しないで吸収していくということになります。これはもちろん、「理想」です。赤ちゃんと違って大人は体も頭も忙しいため、スポンジのように素直に何でも吸収する脳や柔軟性のあるスケジュールとはだいぶかけ離れていることは事実です。

では、なぜ勉強しないで吸収することが理想かというと、単純に自然と習得した言語のパターンや単語は記憶に刻まれ、消えにくいからです。例えば動画を視聴している時に、その文脈の中で「木」という単語が使われた場合は自然と記憶に残る可能性が高くなります。

但し、これには大きなハードルがあります。自然と言語を習得するのにはかなり時間がかかるのです。前述したように、大人は赤ちゃんのように暇ではないですし、脳も複雑になってきているので、学生や大人になってから英語を習得しようとした場合、何か工夫やテクニックを活かして意図的にそのスピードを加速させる必要があると感じる人が多いと思います。


英語イマージョン学習の中での文法の役割と必要な「勉強」とは

あなたはきっと勉強と読んだ時に「文法」、つまり英語の構造・理屈を理解することを思い浮かべたのではないでしょうか? 実は、人間の脳は元々パターン(ここでは、英語の構造)を見極めるのに優れているため、文法を先に勉強することはそこまで重要ではありません。

もし文法を勉強するならば、まずは英語に触れてから、答え合わせ程度に文法を確認して「あ〜なるほど」と納得するぐらいで十分なのです。では英語イマージョン学習中において、英語習得を加速させるために必要な勉強とは何かというと、英語のコミュニケーション力を上げるのに最も貢献する「単語の量を増やす」ことです。なので、私たちが推奨する英語イマージョン学習においても、あえて勉強ということで言うと「単語の増量」に取り組むことをおすすめしています。


英単語を増やす際に知っておきたいこと

ではどう取り組めばいいのか解説しましょう。まず単語は、アクティブボキャブラリー(使用語彙)とパッシブボキャブラリー(理解語彙)という2種類に分けられます。簡単に言えば、アクティブボキャブラリーとは、自ら話せて書ける、自分が使える単語のことです。一方パッシブボキャブラリーとは、聞いたり読んだりした時に理解はできるけれど、自分では使いこなせない単語のことです。

基本的にどの言語でも日々生活や仕事において5%の単語で95%の会話に参加できるそうなので、その5%の単語をアクティブボキャブラリーだと考えた時に、アクティブボキャブラリーはパッシブボキャブラリーより少ないことが分かります。ちなみに英語圏の一般人のボキャブラリーを構成する語数は合計6万語、その内訳はアクティブ2万語、パッシブ4万語だそうです。

つまり、英語学習者は両輪で計画を立てる必要があります。まずは当然日々の生活において困らないようにアクティブボキャブラリーの土台をしっかりと築きます。それと並行して幅広いパッシブボキャブラリーの在庫を増やし、思い出そうと努力せずともすぐにそれらが理解できるようにしていくことです。なお、ネイティブのように6万語を目指す必要はありません。そもそもその単語のデータに関して専門家間の整合性は図っていませんし(リサーチによって6万語でなく、4万語だったりします)、日々生活において困らない程度の語数は最低3000語と一般的に言われていて、10000語もあればかなりいい感じに幅広いテーマに迷わずに触れることができると言われています。


英語イマージョン学習中は、どんな時に「勉強」すべきか?


英語習得を加速させたい時

英語イマージョン学習は、ネイティブによる動画やポッドキャストなどを活用して、リアルな英語を大量にインプットしていく学習法になります。英語イマージョン学習中は、前述したように、無理していわゆる伝統的な勉強というものはしなくてもいいです。但し、意図的に勉強しなければ正直停滞感を感じることが多くあると思います。というのも、無理せず自然と習得したいと思っている場合、イマージョン学習ではどうしても自分の趣味やいつも同じ話題のコンテンツに偏りやすいため、触れる単語が限定されてしまい、単語の増量速度がかなり落ちてしまうからです。

英語イマージョン学習におけるこの点に関しての工夫と、忙しい日々の中で継続できてバランスよく勉強するポイントは、以下の3つになります。

  1. 学習コンテンツが好きな内容であること
  2. 但し、多様なコンテンツで新しい単語に触れる機会を設けること
  3. さらに英語習得を加速させたい人はセンテンスマイニングを行うこと

3のセンテンスマイニングとは、インプットするコンテンツの中で出会った知らない単語や気になる単語を拾い、覚えていく学習法であなたの単語を加速度的に増やしてくれます。一層解説する記事はこちらになりますので、ご興味のある方はぜひお読みください:「英単語の暗記に近道はない!長期的な努力と継続ができる仕組みづくりが重要」。


調べないとどうしても進めない時

もしあなたが勉強がとても苦手な性格であっても、それでも単語を調べて覚えてほしい時が2つあります。

単語を理解できないと進めない時

まず一つ目は、その単語を理解できないと進めない時になります。英語イマージョン学習には、「理解可能なインプット」という重要な概念があります。これはあなたが視聴するコンテンツの英語レベルは、大枠の意味を理解でき、なおかつある程度チャレンジングに感じる内容であるべき、ということです。


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ではどのぐらい理解するベきなのか、といったような尺度は実はありません。インプットをすること自体が習得することになりますので、感覚的にここまで理解できていればインプットの妨げにならないと感じるレベルであなた自身で調整すれば問題ありません。コンテンツを視聴する中で、理解したいのにどうしても「〇〇」単語の意味が分からないが故に進めなくなってしまった時は、ぜひその単語を調べて覚えておきましょう。そうしないと気になって脳が次のインプットを受け入れる体制にならず円滑に吸収できなくなります。

その単語の意味が気になる時

二つ目は、どうしてもその単語の意味が気になる時です。別に理解していなくても行き詰まることなくインプット吸収を継続できる状態でありながら、その単語がなぜか気になる、という時が必ずあります。そんな時はぜひその単語を調べてみましょう。人によって惹かれる単語は違うと思いますが、それもまた単語の魅力ですね!


英語イマージョン学習におすすめのツール


究極のSRSアプリ「Anki」

言語学習をしている方々の大半は聞いたことのあるアプリでしょう。現在は他にも言語学習アプリはたくさん存在していますが、正直仕組みがバラバラなので本当に効果があるかどうか私たちは判断できません。ただ、言語習得において「継続」が鍵という観点で考えた時に、実際様々なアプリをしばらく試してみた中で、結局長期的に使い続けられて効果が薄れないアプリはAnkiだと感じています。

しかも現在はChatGPTを活用すれば一つ一つの単語を手動で追加していかなくても、覚えたい単語をリストアップしてからChatGPTに和訳や例文を作成してもらうということができ、とても簡単になりました(最近グーグルのGeminiもローンチされ、選択肢がもう一つ増えましたね)。

Anki × ChatGPTの具体的な使い方は、「英単語の暗記」について詳しく解説したこちら記事に紹介しています:「英単語の暗記に近道はない!長期的な努力と継続ができる仕組みづくりが重要」。


英語学習でも効果的に活用したい「ChatGPT」

ChatGPTで英語学習というトピックはとてもホットなため、ChatGPTの活用方法についてコンテンツが非常に増えましたね。ChatGPTを使うな、とまでは言いませんが、依存しすぎず効果的に活用しましょう。ChatGPTを使う際に気をつけてほしいポイントがいくつかあるので紹介します。

前提として、英語イマージョン学習では、インプットフェーズとアウトプットフェーズという学習段階があり、初期のインプットフェーズでは、主にリスニングなどのインプットのみを行い、ライティングやスピーキングは行いません。最低でも1000時間のインプット終了後にアウトプットを始めます。


インプットフェーズの場合

そもそも大半の英語学習者はリアルな英語のインプットが足りていないので、ChatGPTを使ってアウトプットの一種である「書く」ことをするのはまだ早いです(例え音声でなくライティングのやりとりでさえも)

とにかく英語が話せるようになりたい、と願う大人の私たちは、どうしても早くアウトプットしたい気持ちになりますが、我慢します。英語イマージョン学習法の大黒柱は大量のインプットなので、まずは英語の番組をたくさん視聴しましょう。もしあなたがまだイマージョン学習についてよく知らない場合は、ぜひこちらの記事「英語イマージョン学習法:自然に聞き取れ、話せるようになる独学法の実用的ガイドライン」をチェックしてみてください。 

インプットフェーズ中で唯一のChatGPTの活かし方は2つあります。一つは前述のAnkiの単語表作成、そしてもう一つは単語の違いについて知りたいときです。

具体的にいうと、日本語学習者の私はよく日本語の単語の違いをChatGPTに問いかけます。「考案、立案、提案の違いを教えてください」といった具合です。英語の場合は例えば「英語の「transient」と「temporary」の違いを教えてください」です。とても分かりやすく解説してくれるので、ぜひ使ってみてください。


アウトプットをはじめたい場合

もしあなたがインプットをしっかりと最低1000時間行い、アウトプットに進んでもいい段階に達しているとしたら、まずはライティングのアウトプットからはじめて欲しいと思います。

その際にChatGPTを活用することができますが、明確なやりとりの条件を先に明記しましょう。例えば「私は英語学習者であなたと英語でやりとりをしたいです。私のライティングにおいて不自然な書き方や単語が見受けられた時はそれを指摘してください。」など。

ただ、当然ですがいくらAIが進化しているとはいえ、人間ほどの自然さ(感情、反応、単語の選定、スラングの使い方等)には及びません。なのでChatGPTよりは先に英語圏の友達を作って、人間同士の交流をたくさんしてください

それ以外でどうしても英語の練習が必要な時などに使うようにしましょう。また、有料版のChatGPTでは音声でのやりとりも可能になりましたが、英会話として活用するのは避けて欲しいと思います。もちろん相手になってはくれますが、AIのため不自然な綺麗すぎる英語、かつ英語圏のソーシャルダイナミクスを体現できないためロボットらしい英語を身につけてしまう結果になってしまいます。


まとめ

さて、冒頭では英語習得に文法やいわゆる伝統的な勉強は必要か否か、という問いがありました。私たちCHADSとしては、それほど重要ではないという回答です。あなたはもうすでに文法の勉強をしなくても日本語を話せていますよね? 文法の参考書を一から一生懸命勉強するよりも、重要なのは、イマージョン学習でネイティブが普段話すリアルな英語を大量にインプットすることです。但し、これには時間がかかるので今回はその間を取り、机にかじりつくことなく自然に英語を吸収していきながらも、適度に英語習得を加速させる勉強法をご紹介しました。教科書のような英語ではなく、ぜひネイティブが話すようなリアルな英語を習得していきましょう!


CHADSとは

私たちCHADSは、英語コミュニケーション習得ツールを提供するスタートアップ企業であり、第二言語として英語を習得のために必要な取り組み方を解説したビデオ学習コースや効率的な学習法を提供しています。

私たちのアプローチは、

  • イマージョン(英語のインプット法)
  • アウトプットのキャリブレーション(インプットとアウトプットのバランス)
  • ソーシャルダイナミクス(英語を使ったコミュニケーション法)

の3つの柱に基づいています。

私たちは英語が自分の思い描く生活のための効果的で実用的なツールとなるように、学問の枠を超えて言語を理解することを中心に取り組みます。

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